その背中に羽根… 「フォレスト・ガンプ」’14.6.12 東京グローブ座

人生がチョコレートの箱のようなものなら、
わたしは、嬉々として、その箱をあけるだろう。
どんなチョコでも、入っているだけで幸せだから。。。
世界で始めて舞台化された『フォレスト・ガンプ』を見てきました。
主演は、田口淳之介くん。年齢不詳な感じもする抜群のスタイルと
オーディエンスをエキストラに仕立て上げる、東京グローブ座という箱が
おもしろい化学反応を起こしていました。
6月12日(木)昼公演の感想です。ネタバレを含みますが、良かったらぜひ。

田口くんが、ハーモニカの練習を始めたよ。
舞台をやるよ。
お友だちに誘ってもらって、雨の降る中、新大久保へ。
劇場に入ると、雨の匂いが、少しずつ…劇場の匂いに変わっていきました。

3方を客席に囲まれたステージの上に、ベンチがひとつ。
映画を見ていないわたしでも、フォレストがベンチに座っている絵は、
見たことがありました。
天井に、網(なのかな?)のようなものがあり、
ステージの両横に椅子。
最初に設置されていた舞台装置は、それくらい・・・だったと思います。

最初に、物語に登場したフォレストは、白いシャツにハーフパンツ。
いや、半ズボンって言った方がいい?サスペンダーでズボンをつっていました。

ステージ上で、長いパンツにはきかえ、シャツをインからオンに変え、
サスペンダーをはずす。
ここは、最初の必見ポイントかな~と。
この着替えで、フォレストの成長を表現しているんですよね。

普通の学校の通うためには、知能指数がたりないフォレスト。
学校では、やんちゃ坊主たちにいじめられていました。
そんなフォレストを助けたのが、ジェニーです。
大勢でよってたかって、ひきょうだよ~と、いじめっ子をけちらします。

フォレストとジェニーは仲良く遊ぶようになるのですが
ジェニーは、縄跳びや、フラフープでフォレストに負けると
「もうその遊びはイイや」と投げ出す、ちょっとわがままな女の子でした。
正義感が強いけど、わがままなジェニーは、家に帰るが嫌がって…
夜遅くまで、フォレストと遊んでいました。

星座の名前を全部覚えているフォレスト。
足も早く、運動神経も抜群です。
知能指数は高くないけど、恐るべき記憶力と運動能力の持ち主でした。

「鳥になりたい」ジェニーは言いました。
鳥になって、ここから飛んでいきたい。

ジェニーは、父親に虐待されていた事がわかって。
父は逮捕され、遠い親戚に引き取られていきます。
ジェニーを地獄から救ったことが、別れとなってしまうんですね。
前田愛さん演じるジェニーは、気が強く、可愛いけど、
危険な匂いのする少女でした。

この頃のフォレストとジェニーは、自分たちに害をなすものから「逃げる」
そのために走る。走ることは、自分を守るための行為でした。

ステージは、ほんとうに狭いのですが、フォレストが走ると、
そこが広い、広いグランドになるから不思議です。
いじめっ子から逃げる、その足の速さを見込まれて、
アメリカンフットボールの選手にスカウトされます。
「ボールを受け取ったら、走ればいい」ただそれだけ教えられてピッチに立つ。
わたしも、アメフトのルールはわかりませんが、
ボールを持った選手を、敵の選手がつぶしにくるのを見た事があります。
フォレストは、そんな敵から逃れたくて、ゴールを目指す。
卓越した走りっぷり(逃げっぷり?)で、一流選手になり、大学へ進むのでした。

フォレストが、飛行機で移動する時、天井の網は揺れ、風を演出していました。

目の前のことを夢中にやる。一生懸命やる。
フォレストのママが、大切に大切に、フォレストに伝えてきたことでした。
全力で事に当たれば、道は開けるってことでしょうか。
高橋ひとみさんが、しなやかで強く、やさしいお母さんを演じていました。
てるひ的助演賞は、高橋さんですね。

ジェニーに会いに行くと、ジェニーはバンドのボーカルをしているのですが
相手にされなくて
そう。初恋相手のジェニーには、幾度となく出会うんですよね。
それから、もうひとり、親友となるババとの出会い。
ババからは、ハーモニカ―を教えてもらうのですが、
アッと言う間に、フォレストはふけるようになってしまう。。。
集中力のすごさといういか、夢中で事にあたる事の素晴らしさを、
フォレストから、繰り返し、繰り返し教えられましたね。

フォレストは軍隊に入る事になります。
決められた事に全力であたる。指示に「ノー」とは言わずに従う。
やさしく、そして、強いフォレストは、優秀な兵士になっていきます。
軍隊に入ると言った時、ママは悲しみますが
「(なにかあったら)逃げるのよ」と、フォレストに言うんですよね。

ベトナムに派遣されたフォレストは、敵の奇襲にあい、
彼の小隊は壊滅的な被害を受けます。
ステージには、ぬかるんだ泥があるかに見えました。
疲弊した兵士たちに勇気を与えたのも、フォレストのハーモニカでした。

フォレストが、たくさんの仲間を救うのですが、
出征前のママと、子ども時代、ジェニーから言われた「逃げるのよ」が
フォレストを支え、命を助けた・・・そんな見せ方をしていましたね。

親友のババは、敵に撃たれ、命を落とします。
「海老釣り漁師になる」と言う夢を抱えたまま。。。
小隊長のダン中尉は、両足を失い、戦場で死にたい~と言いますが、
フォレストは、そんな中尉も助けたのでした。

ベトナム戦争の英雄として帰還したフォレストは、ジェニーと再会します。
以前よりも、あやしげな場所で歌っていたジェニー。
はすっぱな感じになってました。服装とか仕草とか…
ずっとジェニーを慕っていたフォレストは、誘われるまま一緒に暮らすように。。。

ジェニーたちがいたのは、麻薬なども横行するひどい店でした。
お客も、バンドメンバーも下品な人ばかり。
ピュアすぎるフォレストは、ジェニーに追い出され、行く場所を失います。
フォレストにとって、ジェニーは、ずっと思い続けてきた大切な人だけど
ジェニーにとっては、どうだったのかな?
助けてあげるべき存在ではあっても、助けてもらう相手ではなかったのかな。

少しずつやつれていく、落ちていくジェニー。
悲しかったです。
それでも、フォレストにとっては、唯一絶対の女の子なんだよね。
フォレストのように生きるのは難しいでしょう。
前だけ向いて、一生懸命、夢中で生きる。
こうありたいという理想が、服着てる。そんな存在かな、フォレストは。

物語は、フォレストのナレーションで進むので、
田口くんは、ほとんど舞台の上にいて、しゃべりっぱなしでした。
しゃべってない時には、ハーモニカ吹いたり、走ったり。
たどたどしいのに、ピュアな語り口が、ガンプそのもので良かったと思います。

その後、フォレストは宇宙飛行士になります。
詰め込みすぎじゃないの・・・?と思わなくもないけど。
同乗した猿のせいで、未開の島に不時着。
原住民とチェスしたり、同乗していた女性パイロットが現地の男と恋に落ちたり。

そんなこんなで、やっと…今は亡き親友ババの生まれ故郷に行き、
ふたりでやろうと話した、海老釣り漁師になるのでした。
船で海に出るシーンが、ほんとうにすごいな~と思いました。
大きくゆらされる水色の布が、波にしか見えなくて。
天井の、あの網も、揺れる波を演じていました。
臨場感あふれるお席だったので、海の底にいるような錯覚に陥りました。

ずっと不漁続きだったのに、
フォレストがハーモニカを吹くと、海老が集まってきて、どんどん網に。。。
人だけじゃなく、海老までも魅了するの、フォレストのハーモニカは!?
見ていたわたしも、海老になった気分に(笑)

このステージのすごさは、海のシーンでは、観客を海老に(笑)
アメフトの競技場では、フォレストの敵だったり、観客に仕立てあげ、
戦争反対のデモ会場では、群衆の役割も担わされた気がします。

ダン中尉との海老釣り、水産加工の仕事は大成功を収めますが
ママが危篤だとの知らせが、フォレストのもとに届きました。
フォレストは走ります。ママのもとへ急ぎます。
今まで、なにかかから逃げるために走っていたフォレストでしたが
この時はじめて、つかまえるために、積極的に走る事をしたのでした。
ママの無事を願い、ママの顔を見るために。

ひとりぼっちになってしまったフォレストは、バスに乗って、見知らぬ町へ
そこで、ジェニーと再会します。
ジェニーは、赤ちゃんを抱いていました。
赤ちゃんの父親は、フォレストだと言います。
ひとりぼっちになった…と思ったフォレストに、また家族ができたのです。

舞台「フォレスト・ガンプ」はここで終わりです。

「人生はチョコレートの箱のようなもの 開けて味わってみるまではわからない」
フォレストの母の口ぐせであり、この物語のテーマでもあります。
ストレートにとれば、人生いろいろ、晴れたり、曇ったり。かな?

夢中で歩いていれば、いろんなものにぶち当たる。
なにかに直面した時、なにもしないで逃げたり、避けて通るのではなく
当たって砕けろ。実行なくして、成功も幸せもつかむことはできない。
そんなふうに受け取りました。

「鳥になりたい」そう願った、幼き日のジェニー。
鳥にこそなれなかったけど、フォレストと言う羽根を得ました。
フォレストにとっても、ジェニーは、子どものころからずっと…
飛ぶため、飛躍するための羽根だったと思います。

東京グローブ座に、青空が見えました。

最後に、座長の田口くんから、短いご挨拶がありました。
1月に台本をもらった…ということ。1つ1つ、公演が終わっていくのが寂しい。
関ジャニの丸山くん主演の、G2演出の舞台を見て、いつか…と思っていた。
そんな話をしていたかな。

思い出すまま、舞台「フォレスト・ガンプ」の感想を書いてみました。
最後までおつきあいくださって、どうもありがとうございました。

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