ここから生まれたものを伝える風 天世薫風

変えようとする気持ちが、風をおこし、人を動かし、歴史を動かす
…かもしれない。
良い薫のする風が吹く時、人は忘れていなにかを思い出す。
とっても大切な…思いをつなぐ事とか、信じる力、そんなものを。
転世薫風 テンセイクンプー 於 青山劇場

12月16日。嵐のキャプテン、大野くんの舞台を見てきました。
思いっきりネタバレをしていますので、念のため。
転世薫風は、戦国風、幕末蛮風に続く、風(プー)シリーズ第3弾。
数えてみて驚いた。キャプテン出演の舞台は、ぷーシリーズはもちろん、
青木さんから6作全部見てるかも。
あ。きだつよし脚本の新世紀(PLAYZOON)だけ見てないな。

大野くんのターンは、もしかすると、ジャニーズ1かもしれない。
ほんとうは。ヒップホップよりジャズなひと・・・だと思う。
脱線しないうちに、あらすじを辿りながら、感想を書いておこうかな。

白いコートを着た薫(大野くん)は、追っ手に追われていました。
着物に袴、勤皇の志士を名乗る者達に取り囲まれますが
ものすごい運動能力を発揮して、刃を避けて逃げ回ります。
薫を助けに現れたのは近藤勇と土方歳三!
「逃げてばかりいないで、闘え」ふたりは言います。
薫のことを沖田総司と間違えているようです。
そんな眠そうな顔したヤツは、総司しかいない・・・と。
ふたりの目の前から、薫は消えていないくなるのですが
そこへ、沖田総司(もちろん大野くん)が現れるという仕掛けは
幕末蛮風を見ている人にも、見ていない人にもうれしいものでしたね。

薫が気がつくと、そこは、研究所の中でした。
そこでは、転世マシーン(タイムマシーン)の研究が進められていて。
研究助手の高いバイト代につられた薫(2006年のプー)は、
人体実験のモルモットにされてしまったようなのです。
薫が着ていた白いコートこそが、人を別の時代に転世させるマシンの本体で
ボタン一つで、剣術や武術、ダンスの達人にもなってしまう夢のマシン。

人を粒子に分解し、違う世界へ送り、人の姿に再構築する。
時の狭間に落ちて迷子にたったり、生ける屍となりはてる危険性もある。
薫は、この研究所から逃れようと、転世を。
そこには!ヌゥベン?を思わせるエセ宣教師が!風助も!?
薫が転世したのは、1623年の芝居小屋?センゴクプーの時代ではなく…
風助の教え「弁は剣より強し」を芝居にしているようです。
そして。薫のことを「サスケ」とみんなが呼ぶ。
サスケ?風助じゃないのね(笑)

旅芝居の一座に身をやつしていたのは、真田幸村の忘れ形見と
真田十勇士の生き残りでした。霧隠才蔵は、女だし。
薫のことを、サスケ、猿飛佐助と勘違いしているようです。
佐助がいれば、宿敵・服部半蔵を打ち破り、主君の敵討ちもできる!
みんなは喜びますが、関係のない芝居一座のみんなも巻き添えをくらい。
十勇士たちも尽く・・・
無謀な敵討ちをやめさせようと思ったヌゥベン伊三の思いと
父幸村を助けようと、薫の転世マシン(コート)を奪ったダイスケの思いが
からまわりした結果でした。

殺陣の迫力もさることながら、この話の作り方に、泣きました。
囚われの身となった佐助を助けるために、十勇士が敵地に乗り込んできます。
その薫・・・佐助の目の前で、仲間が次々とやられていきます。
最後に、彼は敵を泣きながら(泣いてたのは、わたしか?)切っていく。
そして。ひとり・・・現代に戻ると。歴史が変っていました。
音楽もダンスも、楽しみは全てがご法度になっていました。
1623年のあの事件のせいで、体制にはむかおうとする輩が、
役者や踊り子を隠れ蓑にした事への反省から。

薫は、数度の転世の影響で、からだが弱っていました。
でも。自分のせいで歴史が変ってしまった事のオトシマエをつけるため
再び、転世をします。1623年のあの芝居小屋に。
薫は、前回の体験をいかして、仇討ちをやめさせようと頑張ります。
才蔵たちに、旅回りの一座として生き延びてもらわないと。
ここ(1623年)から生まれたものを、2006年に伝えなければ。そう願って。

最初に出合った時に、才蔵は言っていました。
風助(センゴクプーですね)の意志を佐助が、その佐助の思いを
自分が受け継ぐ。人はいなくなっても、思いは残り、受け継がれていく。
すごく素敵なことだと。
薫は、そんな才蔵を見込んで、このままでは全員やられると告げます。
だから、仇討ちなど忘れて、逃げろ・・・と。
目的を持った薫の目がね、輝いているの。すごいよ、キャプテン。

でも。才蔵は、自分がおとりになって、みんなを救う道を選ぶ。
1回めの転世から、歴史は少しずつ変っている。
ダイスケはコートを奪わないし、伊三の思いは、薫に暴露されている。
つかまったのは才蔵。佐助を慕うものたちもいる。
誰の命も失わせないで、一座のみんなを救い、万々歳!…のはず
もう・・・ね。半蔵たちの剣が手品の花に変えられてたり、笑えました。

転世を作った研究者が、新たなマシーンで、1623年に来ていました。
薫は、白いコートが体から離れても懸命に戦いますが、やがて
時間の壁に吸い込まれてしまいます。
その時に、才蔵が言うのです。
「今度は、わたしが必ずあなたを助けるから!」と。

時の狭間で。悪徳研究者は、自分の悪の研究の犠牲になった者達に
襲われて、自らも時の囚われ人となってしまいます。
薫を救ったのは、研究者の参謀と思われていたミキ。
ミキは、才蔵の子孫でした。自分たちを救った風峰薫を救え
才蔵が、その子に、孫に。そこから生まれた意志を受け渡していったのです。

薫は、2006年に戻ってこられました、でも。
転世の悪影響で、記憶も、おそらく…正常な意識も失っていました。

転世薫風は。プーシリーズの集大成的な作品だったと思います。
すべてのメッセージが、この作品にはちりばめられていました。
そこから生まれるもの。意志を未来へつなぐ。
ものすごく強い意志がいる事でしょう。
薫は、才蔵は、立ち向かった。

ミキは、薫が1623年に忘れていった白いコート(転世マシーン)を渡します
その時に。薫の目に光が。。。良くなるかもしれない兆しを見せた。
いっぱい泣いて。考えた、いろいろなこと。
薫が動いた時に起きた風は、さわやかな良い薫りのする風でした。
なにもしないで後悔するよりも、なにかして失敗した方がいい。
薫のように、大きななにかはできないけれど。

大野くんは、絵を描いたりするのが得意で、いつも眠たそうで。
劇中でも「眠たそうな顔」とネタにされるような人ですが、
舞台に立つと、その目が光り輝き、指の先までぴんとのびて
キレのあるダンスと、しなやかな舞いを見せてくれる。
舞台では大きく見える人ですよね。
大野くんの回りには、風がおきる。さわやかな・・・

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