破壊から始まる未来 ポリティカル・マザー ザ・コレオグラファーズ・カット 19.4.10

はじめてを待つ時間が好きだ。
全く想像もつかない世界の幕開けに、座っているのが難しくなったころ、客電が落ちた。
舞台上に灯り?松明?のようなもの浮かび上がった。
ショーの始まりか。世界の終わりか。
4月10日、素敵なご縁をいただいて、上田竜也さん主演 ポリティカル・マザー ザ・コレオグラファーズ・カットを観てきました。

その日は、雨でした。
雨は、人の気持ちや機材、劇場にも影響を与えます。
今まで観てきた舞台には、ストーリーがありました。
ポリティカルマザーは、今まで観たどの舞台とも違っていました。

舞台は、3つの層にわかれていました。
1番下、舞台上(地上)でパフォーマンスするダンサーさんは、名もなき群衆なのかな。
2層めは、弦楽器が並んでいました。音のことは、全くわかりませんが、カラダの近くに楽器をよせて、音を響かせる弦楽器が大好きです。
最上段はバンド。ボーカルを演じるのが上田竜也くん。
和太鼓も融合した、和のスタイルのバンドです。

そっか。始まる前に燃えていると思った灯は、バンドメンバーと弦楽奏者さん、あるいは、その楽器たちだったのですね。
このカンパニーは、各国のアーティストを主演、主要キャストとして招き、その国らしさを打ち出しているそうです。
ダンサーさんの切腹と思わせる演技がありました。
命の終わりから始まる物語。わたしには受け入れられない演出ですが、終わらせる事で、救える命があるということ、たとえば、戦争もそうかもしれません。
そんな暴力への批判も感じられる舞台でした。

全員が同じ、個性のない服で踊るシーンが多くありました。
両手を上げて踊るダンスは、このカンパニーの十八番なのかな。
そのまま”お手上げ”、あるいは、降参、服従という表現とも取れました。
色を感じさせない衣装は、病院の入院着のようにも、囚人服のようにも見えました。
何人か銃弾に倒れるシーンがあったので、囚人か捕虜、囚われの者たちだったのかも。

最上段のバンドですが、君臨する者ということでしょうか。
民衆をあおり、扇動する。
その先頭に立つ象徴を、上田竜也くんが演じています。バンドのボーカル。
惑わすのか? 導くのか。
成り上がったのか、祭り上げられたのか?
彼には名前はあったのかな。わたしは、天草四郎を連想しました。

暴徒と化した群衆をあおり、先頭に立ち、壊すことに酔いしれ、恍惚となる。我を忘れている感がありました。
美しいと思いました。
行動はエスカレートし、どんどん制御できなくなっていく。
怖かったです。

中段の室内楽団。弦楽器は、人に寄り添う楽器だと思います。
ポリティカルマザーでは、真ん中にいて、体制側にも民衆にもつく者たちともとれます。
心地よい音でしたが、不協和音に響くことも。個であるから、中で対立することもあるという表現でしょうか。

ダンサーさんの手を上げてのダンスは、「こいよ! やれるもんならやってみろ」という意思と取ることもできました。
捨て身となった者は強いです。相手に恐怖を与えます。そして、強いからこそ、もろく、壊れやすい。

囚人服のような衣装から、普通の普段着に着替えてのダンスもありました。
チェンジの前には、音楽がありました。
上田くん演じる独裁者?先導者からのなにかを受けとめての変化だと思うんだけど、そのあたりの細かいところは、ファンの方の感想を、わたしも読ませていただこうと思います。

この日のお席は、1階、最後列でした。だから、民衆の気持ちに1番、寄り添えたのかな。
扇動され、強い意思を持つわけでもないけど、巻き込まれていく。
今の日本の体制の危うさににてますね。

ダンサーさん(4人かな?)たちが、鎧とカブトを身につけて踊るシーンも印象に残っています。
白鳥の湖の四羽の白鳥を思い出しました。なんでかな。
そして、ふるえました。
なんだろ、このひとたちが背負わされてるものって?

どう受け取り、なにを思うのも自由。
上田くんが演じたのは、救世主であり、暴君、破壊神でもありました。

お席が音響装置の近くだったのですが、舞台終盤、音響スタッフさんたちが、あたふたしてらっしゃるのが目に入りました。
音のトラブルがあったのだなーと思いました。

わたしのダメ耳では、上田くんが歌う歌のフレーズは拾えませんでした。
熱量と言うのかな。振動、波動のようなものの凄まじさは感じました。
シャツを脱ぎ、肉体を見せつけるようなパォーマンスもありました。
……かと思ったら、歌うのをやめて、マイクスタンドを大きく振り上げ、壁に打ち付け始めたのです。
怒り? 敵への?思い通りにならない群衆にか?
なにを壊そうとしたんだろう?
自分自身をか。
暴力を美しいと思ってしまう自分が怖いとも思いました。

終演後、教祖さまのマイクにトラブルがあったと聞きました。
それで、あのパォーマンスを? アドリブで?……と驚きました。

民衆はカリスマを作り上げようとします。
民衆の期待は重く、無責任です。
祭り上げられるヒーローの孤独と怒り。悲しさ。
ひとりの犠牲者(上田くん)が、未来を拓いた。
革命を見た。一揆と置き換えることもできるかな。
そんな舞台でした。

解釈は難しく、てるひが勝手に思ったことです。
上田くんよりも、群衆に目がいくことが多かったです。
そんな勝手な感想文に、最後までお付き合いくださり、どうもありがとうございました。

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