美しさは哀しく、そして禍々しい。早乙女太一特別公演「玲瓏」

彼は旅を、演劇を住処とす。。。
暗闇を楽しめたら、きっと、もっと…
このblogには、舞台と言うテーマしかないけれど、
地元の文化会館で見たこの演目を舞台に入れていいものか
…正直、ちょっと迷いました。演劇の方がしっくりくる(笑)
早乙女太一くんが座長を務める劇団朱雀の特別公演「玲瓏」を観てきました。
11月8日(火)夜、於 千葉県文化会館。ネタバレしてますが、よかったらぜひ。

お散歩コースでもある千葉県文化会館でのイベント参加は14年ぶりです。
観劇するためには出かけていく…が当たり前になっていたので
来てくれるナマモノ見るのは、ホンと久しぶり。
14年前は、トニセンのLIVEでした。

早乙女太一という人物に興味を持った事は、以前、blogにも書きましたが…
いったん幕が上がれば、止める事はできない
そんな話をしていたんですよね。must go on.
舞台人としては、至極あたりまえの事なのかもしれませんが。。。

今回の劇団朱雀特別公演「玲瓏」は、巡業を目的とした舞台でした。
同じ場所で1日2公演ずつの公演を行って、次の場所へ。
来年は4か月のロングランとか言ってる舞台を、12年間見続けてきたてるひには
ものすごく新鮮で、楽しみ方がよくわからない舞台でもありました。

第1幕 「天保水滸伝・三浦屋孫次郎」
雨の降る日のいっぱい飲み屋の主人と、目つきのするどい浪人ものの昔語り。
思い出話の主人公は、三浦屋孫次郎のいたあの頃のこと。
三浦屋孫次郎は、前髪の残るいたいけな子どもだけれど、親殺しの大罪人。
故郷の町を逃げてきた孫次郎は、この飲み屋で、やくざの親分に拾われます。
雨にぬれ、高い熱を出している孫次郎。
手負いの獣のような凶暴さと、消え入りそうなはかなさ…

親分に連れ帰られ、めんどうを見てもらい、熱が下がった孫次郎ですが
名を問われても「三浦屋…」としか名乗りません。
名乗れないわけがあるから…ですよね。

セットは、簡単なものなんですよ。飲み屋にしても、やくざの本宅にしても。
千葉県文化会館には、回り舞台などないので、暗転してのセットチェンジ。
その間が、てるひには、ものすごく長く感じてしまいました。
演劇になれている方は、その間も楽しめるんでしょうけど、無理でしたね(苦笑)

孫次郎が、親殺しの大罪人であると知ってか、知らなくてもか…
用心棒に剣術を習うように勧めます。
そう…いつか孫次郎を駒として使うために。
いつもうつむいてる役柄のせいなのか…前髪が長すぎて
孫次郎の顔が、あまりよく見えなかったのが、めっちゃ残念でしたね。

親分のところにいる年端もいかない娘は、笑うことも忘れて
一生懸命咲いた花をちぎって捨てるような、すさんだ心を持っていました。
その反面、ちぎった花を、のりでつけようともする。
寂しい娘と孫次郎は、心を通わせていきます。

ちぎった花は、のりで再生はしない。
でも、土に返すことで、また生まれ変わることができるんだよ。
生まれ…変わりたい。
孫次郎の、娘(名前わすれた~)の切なる願いでした。

このあたりを牛耳っていた残虐非道な笹川の親分が戻ってくる。
命を助けてくれた恩ある親分さんに、笹川は鬼畜で、
今は自分が庇護している娘を、実の娘であるのに手籠めにもした。
そう吹き込まれた孫次郎は、彼女のためにも笹川を撃つ覚悟を決めるのです。

自分の父親も、病身の母に暴力をふるう鬼畜でした。
いたいけな少女と自分の境遇が、かさなって見えたのでしょうか。

旅から戻った笹川の親分に刃をふるう孫次郎。
最初のひとふりが、あまりにも大振りで、それじゃ切れないよ…と思った。
あの娘のため、恩ある親分のためとは言え
見ず知らずの誰かに刀を向けることの恐怖心かな…と。
殺陣で心情を表現してたなんて、すごいなぁ~と。

1度、人を切った事がある孫次郎は、一太刀で恐怖心も粉砕したのか
笹川を仕留めます。
笹川の身内だと思われる輩も、次々に斬る。
でも、その中に、恩ある親分の身内の顔もあり、ハメられた事を知るのです。
鬼畜だったのは笹川ではなく、かくまってくれたはずの男だった…

真実を知った孫次郎は、自分をだました相手を斬り、
用心棒であったはずの男からは、自分の首を差し出す場所を考えるよう
言われるのです。彼は、孫次郎を一人前の男として扱ったのですね。

今は、笹川の女房となっている娘の母に、娘を返す事に成功した孫次郎は
笹川の子分たちに斬られる道を選ぶのです。
刃をたたきつぶした刀を持って、5人と相対する。
白装束の孫次郎が、血にまみれ、苦しむ様は哀しく、壮絶に綺麗でした。
顔がもっと見えればなぁ。。。

母の隣に立つ娘は、孫次郎が生まれ変わるか…と聞きます。
生まれ変わるためには、死ななければならないの?
でも、彼はきっと…次の世に希望を持って、逝ったのだと思います。

太一くんは、殺陣が好きだと言っていました。
殺陣とは哀しいもの。
太一くんの殺陣はダイナミックで、華やかで、そして、哀しい。
それを見られただけで、この公演を観た意味があったと思います。

第2幕 「絵島 ~大奥・許されざる恋~」
2幕は舞踏で、絵島と密通の相手である生島の2役をやってしまうという
100年に1度の女形とも言われた太一くんの絵島は、美しいだけじゃなく
指先まで麗しく、うなじの様も、どんな美しい女性よりも官能的でした。
でも。てるひは、生島のほうが好きだな(笑)
絵島が禁を犯してまで会いたいと願った色男。ほんとうに綺麗でした。

舞踊は…きれいだと思ったけど、あんまり楽しめなかったかな。
太一くんの影武者をつとめた人はだれなんだろ。
正直、全くの知識もネタバレも見ていないのですが
絵島、生島が一緒に踊るのは見ごたえあったかな。
翻弄されてる…そんな感じが出てたと思います。

そして、ものすごーく驚いたこと。
カーテンコールがない!
しかも、近くの席の方たちが、我先に帰っていくの。
まだ9時前だよ。いくら田舎の千葉でも電車は、まだまだるあるはず

「早乙女太一が、お見送りさせていただきます」
なにそれ???
最後の打掛姿で、出口に立つ太一くん。
1日の公演が終わってほっとしたのかな。さわやかな笑顔でした。
きれいであることは、哀しいことかもしれないね。
求められる事と進みたい道は、一緒ですか?…と聞いてみたくなった。

もう1度、この演目を観たいとは思わないけど、
早乙女太一という舞台人は、別の場所で、また見たいと思いました。
来年5月の明治座とか…かな。

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