死に場所を探すと言う事。いのうえ歌舞伎「髑髏城の七人」11.9.22 夜

また見たい。来年じゃなくて、今年また見たいの、明日にでも…
こんなふうに思ったのは、久しぶりですね。
家に帰るなり、見てきた公演のチケ探しなんて、SHOCKでしかした事ないな。
そのくらいおもしろかった。なにが…と言われると、なんだろね(笑)
ストーリーに感動?いや、これまたツッコミどころ満載だったし。
9月22日(木)いのうえ歌舞伎「髑髏城の七人」夜公演の感想のようなものです。
ネタバレしていますが、よかったらぜひどうぞ。

3度めの劇団☆新感線、2度めのいのうえ歌舞伎の鑑賞でした。
過去2度は、森田剛くん主演の荒神とIZO。
生きる喜び、時代への怒り、決められた道への哀しみ。刹那の楽しみ。
華やかな殺陣と、強引ともいえるストーリー運び。
ぐだぐだでもイイ。辻褄、なんのこと、それ?
そう思える舞台でした。

今回の観劇の目的は、早乙女太一くんを見ること…でした。
笑われるかもしれませんが、動く早乙女太一くんは見た事なかったの。
ネットと紙面の写真と、インタビューで興味を持って
ナマモノ参加しちゃうなんて、初めての体験でした。
だから、最初は彼のホームじゃなく、おもしろくない訳がない新感線の舞台を見る事にしたのでした。
のんびりA席からの鑑賞でしたが、青山はコンパクトだから見やすいですね。

開演前のステージ上には、刀が1本、つきささってるだけ。
周りが赤く染まって、なんとも不吉な感じがしちゃいます。
闘いの始まりの暗示のようでもあり、お墓のようでもあって…

戦国の世、織田信長亡きあとの物語…ですよね。
大阪には猿。関東では、髑髏党(だっけ?)を名乗るならず者の集団が
好き放題なことをして、民を苦しめていました。
髑髏党と相対するのは、ちゃらいけど、正義感だけはあるような足軽(?)の集団。
あ。勝地くんだ…その集団にアニキと慕われる兵庫という武士?
抜かずの兵庫の異名をとってるらしいけど、どうやって闘うんだろね?

あっさり仲間を裏切って、髑髏党に寝返ろうとするサンゴも魅力的です。
戦国の世、ある意味、現代も同じだと思うけど、機を見るに敏じゃないとね。

兵庫たちは、髑髏党にあきらかに押され気味。
そこに登場するのが、小栗旬くん演じる捨之介。
白い着流しをさらりと着こなすスタイルの良さは、さすがだと思いました。
見るものを惹きつける。そこにいるだけで華がある。
スタイルの良さは、天からの贈り物であるけれど、使い方を間違うと
動けてない事が、小柄な役者さんより悪目立ちしてしまいますから。

小栗くん。絶賛はしないけど、良かったんじゃないかな。
しゃべり方が好き。斜に構えた感じが全てを捨てた捨之介らしくてイイかと。

髑髏党をたばねる天魔王は、森山未來さん。
観劇後に、ネタバレ巡りをしたのですが、7年前までは、
捨之介と天魔王は、ひとり二役だった…とか。
悪に惹かれるてるひとしては、どちらかの二役で観たかった気もします。

髑髏党の狼藉により、村を焼かれた娘たちを、無界(迎い?)の里に
連れて行こう…と言うことになるのですが、そこは、色町で。
客を選ぶのは太夫の側だというから驚きだけど…

ファンタジーや物語世界には思わず「えぇ~」と叫びたくなる設定は
よくあるけれど、それもありかも…と思わせるのも作り手の腕ですよね。
この無界?迎い?の里の設定と、使われ方は、
正直、てるひ的には無いンじゃないの?…と言いたくなるものでした。

この色町の主・蘭兵衛こそが、てるひの今回の観劇の目的のひとで。
太夫から下働きの女性までもが、絶大の信頼を寄せる人物でした。
戦乱に巻き込まれ、生きる場所を失った女たちの安住の里が無界の里らしい。

最初の登場の時、ほんとうに早乙女太一くん?…と目をこすっちゃいました。
堂々としすぎてる(笑)
立ち姿が綺麗で。いったいいくつの役なわけ?…と聞きたくなりましたね。

捨之介と蘭兵衛は、どうやら知り合いのようで。
しかも、捨之介が捨てた過去に、浅からぬ縁があるようです。
髑髏党をたばねる天魔王とも…

過去を斬るためにも天魔王を倒さなければ…と言うことになり、
捨之介は、鋼鉄を斬る刀の制作を依頼しに行くんだけど
彼が「ひとりでは動くな」と言ったにもかかわらず、蘭兵衛は、単身、
髑髏党の心臓部へと乗り込んでいくんですよね。

なんでなの?その理由がなかなかわからなくて、何度も、物語に置いていかれそうになりましたね。
でも、天魔王と1対1で刃を交える彼を見て、なんとなくわかってくるの。
天魔王も蘭兵衛も、信長の小姓として戦乱の世を生きてきて
あの本能寺で、主とともに死んでいたはずなのに、生きながらえた。。。
闘い続ける事だけが、生きる事。
生と死の境界線を走り続ける事でしか、生を実感できない悲しさ。

天魔王は、小姓の時代から、主にとって代わりたいという野望があったようだけど、臆病で小心者ゆえに、生き延びる事ができたようで。
用心深く、小心者の天魔王を、森山さんは熱演していたと思います。

髑髏城の絵図面を持ち逃げした、城作りの民の生き残りのサギリ。
仲里依紗さんですが、声がかれてたね。
う…ン。元気少女の役なのかもしれないけど、ちとうるさいし、
声がかれちゃってるのは、どうかな…と。

何度も七人て、誰と誰と誰なんだろ?…と考えました。
ま、五人は決まってるよね…
登場人物の中で、てるひが1番カッコいいと思ったのは、抜かずの兵庫ですね。
刀を抜かないンですよ…
家老(だったっけ?)のバカ息子を斬った兵庫を、家臣たちは追う。
討つために追いかけるうちに、兵庫の人柄に惹かれ、主君を裏切る侍もいたなんて。ありえへん…とは言え、カッコいい。

蘭兵衛は、死に場所を求めて、天魔王を道連れにできれば尚いい
そんな思いで、髑髏城に行ったンじゃないか…と勝手に思っています。
太一くんの殺陣はきれいだったなぁ。
なにが正統なのか、どんな殺陣が素晴らしいのかわかりませんが
蝶のようだと思いました。悲しい殺陣でしたね。

蘭兵衛は天魔王に負け、あやしい薬を口移しで飲まされるんだけど
…。これがエロティックじゃなくて、ちとざんねん(笑)
正気を失った蘭兵衛と天魔王は、無界の里の住民たちを斬って、斬って…
この殺戮のシーンは受け入れるのが難しかったけど、壮絶に綺麗でした。

捨之介は小姓ではなく、密偵(?)のような存在だったようですね。
あの正気を奪う薬をかがされて、仲間に襲い掛かりそうにもなるけれど
サギリの鉄拳で正気にかえる…という。
屈強な精神力の持ち主って事なんでしょうけど…
全てを捨てた者の強さでしょうか。

捨之介が、髑髏城で百人切りする殺陣のシーンは、お笑い要素が強すぎて、
なんだかな~と思っちゃいました。
刀は血のりがついてしまえば、使いものにならなくなる。
で。捨之介が人を斬るたびごとに、兵庫が刀を研ぐんだもの。
笑いをはさむのはイイと思いますよ。物語が止まらない程度でしたしね。
でもなぁ…殺陣は真剣勝負であってほしかったんだよなぁ。

小栗くんは、その容姿を武器にできていましたね。
彼の殺陣がどうなのか…わたしにはわかりませんが、戦場で目立っていた。
主役はそれでいいのかも…と思っちゃいましたもの。

小心者ゆえに、策略家であった天魔王も、捨之介が特注した鋼を斬る刀によって鎧を破られ、闘いに負けます。
侵攻してきた家康軍により、闘いの幕は降ろされました。
天魔王の罠により、捨之介が真の天魔王である事にされかけますが
肝の据わったサギリの機転のおかげで、難を逃れるんですよね。

サギリ、おいしい役なのになぁ。
里依紗さん、もうちょっとがんばってほしかったかも…
この後、捨之介とサギリは、ともに生きていくことになるようです。

蘭兵衛は、織田信長の小姓の森蘭丸でした。
信長の最後を誰にも見せないように、敵に首どころか一片の骨さえ拾わせないように、命をかけたはずの人物が生きていた…
捨之介、天魔王はモデルがいるのかいないのか…
モデルの人物がいたとして、影の存在であった捨之介が、名も無き者として
生き延びたとしても、歴史は怒る事はないでしょう。
でも、森蘭丸を生かす事は、源義経を生かす事と同じですからね(笑)

早乙女太一くんをもっと見たいと思いました。
殺陣とか踊りとか…

髑髏城の七人のうち五人は、捨之介、兵庫、サンゴ、サギリ、極楽太夫…
あとの二人は、天魔王と蘭兵衛かもしれないし
兵庫の兄と斬鉄剣(だっけ?)を作った名刀鍛冶だったかもしれない。
徳川家康と、オーディエンスのわたし…かもしれないし?

物語のラストシーン。刀を地面に突き立てます。闘いの終わりです。
名もなき戦士たちが、自分に戻る。
いい味出していた小池栄子さん演じる極楽太夫が、兵庫に本名を明かすのも
印象的でした。太夫から自分自身に戻った瞬間でした。
物語の終わりにふさわしいですよね。
てるひもオーディエンスから、てるひに戻った瞬間でもあったのかな。

いのうえ歌舞伎「髑髏城の七人」ほんとうにおもしろかったです。
その事をメモっておきたいだけの、感想なのかもわからないような駄文に
最後までお付き合いくださって、どうもありがとうございました。

前の記事にもブログ気持玉をいただきました。ありがとうございました。

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