自由と孤独 『そして私は一人になった』山本文緒

子どもの頃から、本が友だちだった。
空想の世界には、王子様もいるし、いじめっこをやっつける魔法もある。
あの頃から、おひとりさまが好きだった?
好きだった訳じゃない。ひとりに慣れっこになってしまっているだけ。
家族ができた今も「ひとり」と言う言葉には、過剰反応してしまう。
だから、この本も読んでみようと思ったのかもしれない。
『そして私は一人になった』山本文緒 1997 KKベストセラーズ

直木賞作家の山本文緒氏の本は、読んだ事がありませんでした。
少し前に。友だちが『再婚生活』の話をしていたので、
いつか読んでみよう…頭の片隅に山本文緒の名前をメモしといたのです。
この「いつか」が曲者で、永遠にその日がこない事が多かったりします。
でも。山本氏の作品は違っていました。

最近。週間情報誌「L25」を愛読しています。
毎週、お題に沿った本を紹介するコーナーがあるのですが
11月1日号の「独りの時間を楽しく過ごす」で、この本は紹介されていました。
この本を読んで、心の底から驚いた。
自分は、てるひの考え方は、このひと(山本文緒)によく似ている…

山本氏は親元から大学に通い、OL時代、少女小説作家となり、結婚をする。
その後、本格的な小説を書くに至り、その後、離婚。
三十二歳の時に初めて独り暮らしを始めるのです。
この本に書かれていたのは、そして一人になった…話ではありませんでした。
一人になった、それからの話、それからの1年間の日記風エッセイでした。

一生書き続ける。そんな仕事に巡り合えて、しかも直木賞を取って
彼女のことをうらやましいと思わない人は少ないと思います。
好きを仕事にする事が出来る人は、限られているから。
読んでは書いて、書いては読んで、そうやって一日が終わり、
一週間が終わり、月日が過ぎていく。
しあわせだなあ、と心から思う。
こんなふうに暮らせたら、どんなにいいだろう。
静かで地味だけど、他の誰とも共有しなくていい、自分だけの幸せ。

最近人と親しくなると、なるべくちょくちょく会って遊んだり~している。
「時間に余裕ができたら」とか「またそのうち」なんて思っているうちに、
人は行ってしまうのだ。今、楽しまずに、いつ楽しむのだ。
今、激しく(笑)応援しているアーティストがいる。
彼らがいつまで活動できるか…なんの約束もない。
今、楽しまずに、いつ楽しむのだ。まさにそんな気持ちなんだよね。
もちろん、今という楽しい時間が、ずっと続いて欲しいと思っています。
「時間に余裕が出来たら」なんて思ってることは、いつまでたってもしないし、
「いつか読もう」と思ってる本は、絶対に読まない。少なくとも、てるひはそう。

思わず、これ以上は、読みたくないと思う文章もあった。
きっと私は恐いのだ。子供を産むことによって、自分のためだけにある人生が、子供のための人生になってしまいそうでそれが恐い。
女性なら、必ず1度は思う事かもしれません。
わたしも姓を変えた時に、誰かの為の人生になってしまいそうで恐かった。
PNは旧姓を使っているから、氏の子ども云々程の恐怖感はなかったけど。
それから、子供って言葉は嫌い。子どもは、大人のお供じゃないから。

私の愛想のよさや礼儀正しさは、相手のことを思ってではなくて、
自分を守る鎧なのだ。
自分が礼儀正しいかどうか…は、甚だ疑問だが、愛想はよいと思う。
趣味が偏りすぎていて、普通の話をするのがものすごく苦手。
世の中の話題に、ほとんどついていけない。映画も音楽もお笑いもよくわからない。
話についていけない事を見破られたくなくて、偏屈な自分をさらけ出したくなくて、
ひたすら愛想よく、笑っていた時期もあったなぁ~
でも。そのせいで、八方美人と陰口をたたかれちゃったりもした。

この本を読んだ人は、そこかしこに「そう、そう」と共感できる箇所を見つけられると思います。その箇所は、ひとによって違うでしょうけど。
共感して、自分の心の闇に戦慄し、その美しくないと思っていた思いも、自分だけじゃないんだ…ってわかって、ほっとした。

ずっと一人でいると、自分の機嫌をとるのが上手くなる。
自分の機嫌と取るのも、自分を悲しい気持ちにさせるのも、追い詰めるのも、みんな自分。自分を幸せにするのも自分。誰かにしてもらうものじゃ、決してない。

同じものを好きな人と話したり、盛り上がったりするのは、ものすごく楽しい。
でも、ひとりも楽しい。
今、この本を読めて、ほんとうに良かったって思います。
ひとりを楽しみたい方も、ひとりは嫌だって方も、手に取ってみてはいかがでしょう

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