愛は勝つ…の?ビューティフルゲーム

神様が主催する(?)ビューティフル・ゲーム。
1969年のアイルランドでは、プロテスタントと、カトリックが対立をしていた。
神様の国で、神様の名のもとに、若者たちがテロリストとなり、
罪なき人々が凶弾に倒れる。
4月12日に、櫻井翔くん主演の舞台「ザ・ビューティフル・ゲーム」を観てきました。
15日に、青山劇場の千秋楽を迎えたので、ネタバレを含む感想を少し書きます。

アイルランドと言えば。サッカーの国。
櫻井くんが演じる、ジョンも、プロサッカー選手になる事を夢みていました。
アイルランドは、カトリックの国でしたが、北アイルランドはイギリス領となり、
プロテスタントが多数を占めるようになります。

世間様のおわす日本に生まれ、信仰を持たないわたしには、
宗教戦争はよくわかりません。
聖書という同じ教えと、同じ神を信じているの人たちが、戦争する…なんて。
キリスト教はおしつけがましいところがあり、他宗教も
他修派も認めませんよね。かなり排他的なところがある気がします。

ジョンが所属するサッカーチームの監督は、神父様でもありました。
チームにひとりだけ、プロテスタント信徒がいました。
スポーツには宗教も民族もない・・・って思うけど、
熱狂的なカトリック信者のトーマスは、異教徒のチームメイトを憎んでいました。

サッカーの試合のシーンがおもしろいンですよね。
サッカーボールを追いかけて、舞台を右に左に走り回り
観客席とゴールを動かす事によって、ゲームの流れを演出します。
ボールを追いかけて走り、大げさなジャンプ!
パスやシュートをダンスで表現します。コマ送りな感じが劇画っぽくて、
「キャプテン翼」のシュートシーンっぽいなぁ。な~んて。

サッカーだけではなく、恋愛もあります。
魅かれながらも、反発しあうメアリーとのシーンでは
櫻井くんの歌に、チョイ不安を覚えないでもありませんでしたが・・・
メアリーのパンチのきいた歌唱力に負けてた…かも?
芝居が進むにつれ、歌もなめらかになっていったと思います。
比べるのはおかしいけど、WSSより、ずいぶんうまくなったなぁって。

ジョンの活躍で、チームはサッカー大会で優勝をしますが
その祝勝パーティの夜、チームメイトのジンジャーが
プロテスタント側に拉致、拷問され、命を落とします。
IRA(カトリックの過激派)であると疑われ、拷問を受けたのです。
この悲しい事件をきっかけに、少年たちの運命の歯車が狂っていきます。

この悲しい事件の報告の時に、櫻井くんってば、大いなる言い間違い。
「捨てられたからって、死んだんだ」
う・・・ん?

この後。ジョンとメアリーと結婚して、すべてがうまくいくように思えますが
なんと。結婚初夜に、その希望は閉ざされます。
トーマスからの電話に、新妻メアリーをおいて出て行くジョン。
IRAに加入したトーマスの逃亡を助けるために。

プロサッカー選手になる夢が、現実のものになりそうだった日
ジョンは、過激派トーマス逃亡ほう助の罪により、逮捕されます。
メアリーのおなかには、赤ちゃんが授かっていた・・・というのに。

政治犯が囚われている監獄に、ジョンも入れられます。
囚人たちが、檻を使って、監獄の絶望を歌い、
ジョンにあきらめを諭して踊るシーンはすごく良かったです。
自分が壊れないように、膝をかかえて耐えていたジョンも、いつしか
監獄の狂気と虚無に飲み込まれ、囚人たちのダンスに加わるのです。

赤ちゃんを授かって、メアリーは強くなっていきます。
家族を愛し、アイルランドとカトリックを愛し、ジョンの出所を待つのですが・・・

ジョンを警察に売ったのは、誰あろう…トーマスでした。
しかも。その罪を元チームメイトのダニエルにきせ、膝を撃ちぬくのでした。
カトリックの神を信じて行動していたはずなのに、いつの間にか
狂気と暴力に支配をされてしまったのです。

印象的なシーンがあります。
サッカーチームの監督が撮ってくれた、メンバーの集合写真。
今はちりぢりになってしまったイレブンの事を、メアリーが話します。
トーマスはテロリストに、ダニエルはテロリストの襲撃を受け、歩行困難に。
ジンジャーは死に、デル(プロテスタント)は自由の国アメリカへ
なんとも過酷すぎる運命が、ひとつだったイレブンを、バラバラに引き裂きました。
それでも、神を信じろ…と言うのでしょうか?

ジョンもIRAの兵士となり、家族を残し、イギリスに渡る事になります。
でも。トーマスの裏切り行為を知ることとなり、
自分にとって、ほんとうに大切なものが何なのか・・・思い出し
家族のもとに帰ってきます。

イレブンと街を襲ったたくさんの災厄。
いえ。災厄は、これからも絶えることなく、街を襲うでしょう。
でも。小さな希望だけが残った・・・そんな話でした。

櫻井くん、鍛えてるンですね~びっくりしました。
サッカーの試合の後の、更衣室での生着替え?
パンツは衣装だそうですが(笑)腹筋が、きれいでした(うっとり)
カッコよくなりましたね。カツゼツもよくなったって思うし。

櫻井くんと剛くんは、わたしの中では、同じキャラなんです。
へたれっていうの?
それに加えて。櫻井くんは、器用そうに見えて、実は不器用で。
でも。一生懸命な人だと思います。
ちらしの(パンフにも同じ写真あり)顔の左半分だけの写真、必見です。
感情が高まって歌になる。それがミュージカル。

大切なものを守るために戦う。すばらしい事かもしれません。
でも。人は弱い生き物で。守るという事を口実にしてしまいがちです。
そして。狂気と血の魔力に囚われて、己をも見失ってしまう。
強く生きるとはどういう事なのか…考えさせられました。
この舞台を見終わったら、賛美歌を歌いたくなりました。

大阪公演 4月23日~26日 於 NHK大阪ホール

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