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zoom RSS ゾゾの翼とマルの背中に守られて『マルの背中』岩瀬成子 講談社 2016.9

<<   作成日時 : 2017/03/17 14:21   >>

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マルはどこから来たの
小学3年生の亜澄(あずみ)は知りません。
遠いところから来たの わたしの知らないところなの
亜澄の目線は低く、世界はまだ狭いからです。
謎の駄菓子屋の店主に飼われている、白猫のマル。背中の灰色の模様をなでながら頼むと、願いが叶うと言われています。
わたしも、マルを探し、求め続けていたのかもしれません。
そばにいてほしい時、そこにいて、見ていてくれ、守ってくれる。そんな存在を。
1年半年ぶり(?)の本のレビュー。良かったら、ぜひどうぞ。

本の表紙絵を見て、読み始めて、不吉な思いにかられました。
両親が離婚し、母と家を出た亜澄。
離婚当時、保育園生だった弟、理央は、父のもとに残りました。
仕事のスキルを持たない母との生活は貧しく、亜澄は、母から3度も
「一緒に死んじゃおうか」と言われます。冒頭から。。。

亜澄の目には、母は、ふたりでなければ死ねないと映ったのかな。
おそらく......母は、そのぎりぎりの言葉を発する事により、現実に踏みとどまっていたんだとわたしは読みましたが。
家を出て、謎の駄菓子屋に行くと、帰省するという駄菓子屋の謎のおじさんから、マルをあずかってほしいと頼まれます。
母と亜澄だけの空間に、マルというネコがやってくる。
預かりネコがいるのに死のうなんて、母は言わないと思ったのかもしれません。
亜澄は、断ることが苦手な子でした。

亜澄は、いい子でした。
お母さんの言うことをよく守り、電気も洗剤も無駄にしない。
ほんとうに、その場所で、息をしている子どもなんだろうか?
夏休みという、日常から切り離された時間の中で話が進み、
離婚の時、小さな弟を残してくるという不自然さなどもあって
亜澄という小学3年生の少女に、現実感が全く感じられませんでした。
あの頃を思い出して、語ってるのかな?

夜のコンビニのバイトに出かけた母が、朝になっても帰っていなくて
探しまわるシーンは、ドキドキしましたね。
どこにもいない。そんな事ないと思いつつも、おいて行かれたのかとあせる。
母の歯ブラシをさわったら、乾いていたっていうところも、すごく好き。
わたしが、1番、現実を感じたシーンでした。
母は、食料をもらって帰ってきますけどね。

そんな亜澄の耳に、弟の理央の声が届くことがあります。
おねえちゃんと呼ぶ。
ゾゾという生き物が、理央の前によく現れて、話しかけたり、守ってくる。
理央が良く話していたというゾゾという生き物に、すごく興味を持ちました。
ネコみたいで、ゾウのように大きくて、翼を持つゾゾ。
ゾゾが、そばにいて、見守ってくれる。だから、前へと進める。
ゾゾのような存在は、必要とするひとの前に現れ、必要がなくなれば、消える(忘れる)のだと思います。
わたしにも、いた。今は、ゾゾではなく、家族が見ていてくれますけどね。

母は、人付き合いが苦手で、仕事をすると、いつも疲れて帰ってきます。
仕事も長続きしなかったり。
母が頑張って何かをする、暑いのにコロッケ揚げたり、仕事を探し歩いたりする姿が、亜澄には、不吉に映るというのが面白いのですが、悲しくもあったりもします。
でも、マルが家にやってきた事により、母も、亜澄と母との関係性も変わっていく。
マルの背中の模様をなでたくなりますよね。

亜澄より年下の少女や、絵を描く娘(亜澄の母より年上?)と母、
宗教の勧誘をする夫人、セミのぬけがらをくれる少年などなど
謎のおじさんの他にも、なぞの人物がたくさん出てきます。
亜澄は、楽しく遊んだり、自衛のためにうそをついたりしながらも、亜澄であることを楽しんでいたと思います。

亜澄は、家族思いの(そこに父は含まれないケド)優しい子でした。
マルをあずかるご褒美にともらったお菓子を、ふれあう人にあげたり。
お菓子を一緒に囲む時間を、楽しんでいたのかもしれませんね。
1番に、母と弟の理央と、そうしたかったのでしょう。

父が再婚したと知り、理央に会いたいと強く思う亜澄。
マルが来る前は、絶対に許さなかった母が、父に電話してくれます。
亜澄が、前の家に残してきてしまったものを理央に聞くところは、悲しいです。
理央たちは、前の家を引き払ているため、亜澄の持ち物は、おそらく......もうない。理央の時間は動いているのに、理央との亜澄の時間は、止まったまま。

亜澄が感じるようになったゾゾ(マルと同一かも?)のことを
あれほど、ゾゾの話をしていた理央は、あまり覚えていないようでした。
理央が、今、幸せだということなのでしょう。
ゾゾに助けてもらう必要が、もうなくなったということ。
理央は、妹もできて、姉の亜澄に気も使えるほど成長していました。

ゾゾという存在のせいか、理央は、ほんとうはいないのではないか?
いなく(死んで)なってしまったのではないか?
......とおそれながら、読み進めていました。
冒頭、母が「一緒に死んじゃおうか」と亜澄に言うのも、理央を亡くしているからと考えると、なっとくがいったからかもしれません。

亜澄は、理央と話すことで、やっと腰を上げる事ができたのかもしれません。
理央との関係も、ぐっと現実味を帯びた気がしました。

暗闇は、とてもこわい。
見えないということが怖い。
でも、ゾゾが見ていてくれるから、ひとは進めるのだと思います。
マルが背中をなでろと差しだしてくれるから、願うことができる。
マルもゾゾも、必要とするひとのところに現れ、必要でなくなれば、忘れ去られる。

リアルなのに、ファンタジックな物語でした。
なにかにおびえる夜には、そっと......レースのカーテンの向こう側をのぞいてみたいと思います。そこに、マルは、ゾゾは、いてくれるから。

勝手なレビューに、最後までおつきあいくださり、どうもありがとうございました。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんわ
両親の離婚によって 色んな思いが 通り過ぎて 成長してゆくお話ですね
人生を豊かにしてくれる感動する本に出会う事は大切ですね 話は変わりますが みかんは血流アップに良いらしいですね
KinKi Kidsのブンブブーンの落語の回 こちらではまだですが面白そうでした(^-^)人(^-^)
てるひさんの体調が日に日に良くなりますように 楽しい毎日でありますように心より御祈り申し上げます
みらくる
2017/03/17 22:27
みらくるさん、こんばんは。
今日3月19日放送分と一緒に、落語の回もやっと見たので、お返事させていただきますね。遅くなって、すいません。
岩瀬成子は、好きな作家のひとりです。今、深刻な問題になっている子どもの貧困について、類型的ではない物語名だな〜と興味深く読みました。
わたしにとって、本は、ライブや舞台と同じ側面も持っています。一瞬で異世界へと飛べますもんね。
みかん!今、ブラッドオレンジを食べてます。ビタミンCはたくさん取りたいですもんね。
話は戻りますが、落語の回のブンブブーン。あんなに可愛い38歳と37歳、信じられないですね。キャーとも言われてたふたり。たくさん笑って、免疫力アップできました!
いつもほんとうにありがとうございます。
みらくるさんも、明日もその先も、素敵に過ごせますように。
てるひ
2017/03/19 18:24

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